
創業者・嚴さんに、nano.のこれまでと大切にしてきた考え方を伺った前回。
▶︎ 【前編】すべては「人」から始まった。創業者が語るnano.のはじまり
▶︎ 【後編】仕事は、自分の手でおもしろくする
今回お話を聞いたのは、会長である嚴さんから会社を受け継ぎ、現在は社長としてnano.を率いている堂本さんです。
創業から現在まで、いくつもの転機を越えてnano.は今の形になってきました。
では、これからのnano.はどこへ向かっていくのか。
nano.のこれからについて、じっくり伺いました。
変わらない軸は、「プロフェッショナルの集団」を追求すること
――これからのnano.について、堂本さんはどんな未来を思い描いていますか?
いろいろありますが、その話をする前にまず「変わらないもの」からお伝えしたくて。
これから何をやるにしても絶対に崩したくない軸があるんです。
それが「プロフェッショナル集団を追求すること」です。
一人ひとりが自立していて、それぞれに自分だけの専門分野や武器を持っている。
その上でお互いを信頼して背中を預け合える。
そんな集団をイメージしています。
一つの目標に向かってそれぞれが自分の力や個性を持ち寄る。
そうやって一人ではできない仕事を成し遂げていく。
この形がnano.の一番の強みだと思っているんです。
――たしかに、それぞれが専門性を持っているからこそ、集まったときに強いですね。
そうなんです。
だからこそ、この強みはこれからも守り続けたい。
――一方で、難しさもありそうです。
正直あります。
組織が大きくなればなるほど、一人ひとりの個性や尖りが、だんだん埋もれていってしまうんじゃないか。
そういう懸念はずっと持っていて。
でも、そうはしたくない。
一人ひとりの個性や独自性をしっかり見極めて、そこを起点にその人自身のキャリアを見出していく。
今すぐ形にできることではないですが、長い目で突き詰めていきたいと思っています。
「なぜ」を突き詰める
――一人ひとりが武器を磨いていくために、取り組んでいることはありますか?
一番大きいのは、フィードバックを習慣にしていることですね。
以前は、一つの結婚式がすべて終わってから、業務の改善点などの振り返りをしていたんです。
でも、それだと時間が経ちすぎて当日の細かい出来事を思い出せないことも多くて。
それがずっと課題でした。
――記憶が新しいうちに、振り返れていなかったんですね。
そうなんです。
だから、結婚式ごとにまとめて振り返るのではなく、
もっと細かく、一営業ごと、もしくは一週間ごとに振り返る形に変えました。
たとえば、あのお客様にはメニューをもう一品ご案内できたんじゃないか。
あの場面で、もう少し気の利いた配慮ができたんじゃないか。
そういう小さなことを、その都度みんなで振り返る。
今ではそれが会社の当たり前になっています。
――振り返りが文化になっているんですね。
はい。ただ振り返るだけじゃなくて、
「なぜそうなったのか」
「同じことを再現できるか」
「もっと良くできることはないか」。
そこまで追求するようにしています。
起きたことをそのままにしない。
とことん突き詰めて考える。
その探究する姿勢こそがプロフェッショナルを追求していくために欠かせないと思っているんです。
――組織の面で変えてきたことはありますか?
マネージャーを増やしたことですね。
今は5名ほどになりました。
会社が大きくなる中で、どうしても現場と経営の距離が開いてしまうと感じたんです。
なので、その間に立って、現場の一人ひとりをしっかり見てくれる存在が必要でした。
マネージャーには、メンバーの成長を近くで後押しして、引き上げていってほしい。
そうやって一人ひとりが伸びていけば、結果的に会社全体も強くなっていくと考えています。
型にハマらない。挑戦を面白がる会社へ
――今後、新しく進化させていきたいことはありますか?
もっと面白い会社にしていきたいですね。
型にハマらず、他がやっていないこと、見たことがないことをどんどんやっていく。
思いついたアイデアをそのまま形に変えていける。
そういう会社でありたいんです。
――実際に、そういう挑戦は生まれていますか?
はい。たとえば、今年入社した新卒のメンバーが新しくバーをオープンさせたんです。
空間のデザインから、家具やレイアウト、店で使うアイテムの仕入れまで。
ほとんど全部本人が考えました。
もちろん僕もサポートはしましたが、主役はあくまでその方自身です。
――自分のお店を一つ立ち上げる。すごいことですね。
その方、実は学生の頃から店に立っていて。
入った当初は「いらっしゃいませ」もうまく言えないくらいだったんです。
それが今では、自分でお客様を呼んで、自分のファンがついている。
挑戦できる環境があれば、人はここまで変わるんだと実感しました。
――やりたいことを形にできる環境なんですね。
そうなんです。
このバーのように、うちには社内ベンチャーのような仕組みがあって。
やってみたいと手を挙げた人が実際にそれを形にしていけるんです。
「やりたいことがあれば、まずやってみよう。」
それが、うちのカルチャーなんです。
――正直、ここまで本気で挑戦を後押ししている会社はなかなか見たことないです。
はい。だから夢を語ることを恥ずかしがらないでほしいんです。
小さい頃ってもっと純粋に、堂々と夢を語っていたはずなんですよ。
それがいつの間にか語らなくなってしまう。
でも、夢はもっと語っていいし、まずは小さなことから実現していけばいい。
自分の人生なんだから、楽しく豊かに過ごそうよ。
その根っこにある思いはいつもそこなんです。
サービス業の価値を、変えていく
――今後nano.で何を成し遂げたいですか?
サービス業そのものの価値を上げていきたいです。
サービス業は、業界全体で見てもどうしても賃金が低くなりがちですよね。
一生懸命いい仕事をしている人が、それに見合った対価を受け取れていない。
そう感じています。
業界構造そのものを変えていきたいと思っています。
――その状況をどう変えていきたいと考えていますか?
鍵になるのは、一人ひとりが「その人ならではの価値」を届けていくことだと思っています。
マニュアル通りの決まった対応だと、どうしてもみんな同じサービスになってしまう。
でも、その人が自分の感性や強みを活かして向き合えば、目の前のお客様に合わせた、その場でしか生まれないおもてなしができる。
たとえば結婚式なら、その日のゲストに「あの人が担当してくれて本当に良かった」と感じてもらえる。
そういう体験を届けられる人が、これからは大事になっていくんです。
――お客様の心にその人自身が残っていく。
そうです。一つひとつの現場で、目の前の人を本気で喜ばせていく。
その積み重ねが、その人自身の評判になり、実力になっていきます。
そうすると今度は、業界の中でも「あの人にお願いしたい」と、また違ったところからも声がかかるようになる。
「誰でもいい」ではなく、「あなたじゃないと困る」と指名されるようになるんです。
――名指しで仕事が来るようになる。
はい。そうなればいただく対価も変わってきます。
「この人にお願いしたい」と言われる人は、自分の名前で仕事ができる。
それはもう、一人ひとりが「自分=ブランド」になっているということなんです。
――目の前のお客様の満足が先にあって、めぐって自分の価値になる。
まさに、そこなんです。
目の前の人を喜ばせることが、めぐりめぐって自分自身の価値を高めていく。
そうやって一人ひとりがブランドになっていけば、サービス業全体の価値も上がっていく。
働く人も、お客様も、どちらも幸せになる。
そういう未来を本気でつくりたいと思っているんです。

事実は一つ、解釈は無限大
――今いる仲間や、これから加わる仲間へ。いま一番おくりたい言葉はありますか?
「事実は一つ、解釈は無限大」ですね。
この言葉をずっと大事にしています。
起きた出来事そのものは誰にも変えられないですよね。
でも、それをどう受け取るかは自分で決められる。
同じ出来事でも、どう解釈するかで、その人の人生が豊かになるかどうかが変わる。
僕はそう思っているんです。
――もう少し具体的にお聞きしたいです!
わかりやすい例でいうと、うちの子どもたちの話があって。
あるとき、下の子が使っていたおもちゃを上の子が「貸して」と言ったんです。
でも、下の子は貸さなかった。
そのとき上の子は、「意地悪された」と受け取ったんですよ。
ただ、見方を変えれば、「今は下の子が使いたいんだな」というだけの話でもある。
――同じ出来事でも、受け取り方が正反対になるってことですね。
そうなんです。
「意地悪された」と思うのか、「今使いたいだけなんだ。あとでまたお願いしてみよう。」と思うのか。
どちらに解釈するかで、気持ちの持ち方がまったく変わってくる。
これって大人の世界でも同じだと思うんです。
うまくいかないことや、ネガティブに思えることが起きたとしても、それをどう解釈するか。
そこは自分で選べるんですよね。
――解釈が変われば、人への接し方や、モノの見方まで変わってきそうですね。
そうですね。だから僕は、この考え方が自分の人生を豊かにするうえで欠かせないと思っていて。
自分の人生を、自分で豊かにしていく。
その先に「自分=ブランド」がある。
「事実は一つ、解釈は無限大」は、その二つをつなぐ言葉でもあるんです。
これからnano.に加わる人へ
――これからnano.に入社される方に、どんなことを期待しますか?
思いを繋いでいってほしいですね。
僕たちがすごく大事にしている言葉に、「nano.のあり方が、新しい価値となる」という言葉があって。
これは、「一人ひとりが新しい価値そのものになって、その影響を広げていく」という意味なんです。
――一人ひとりが、新しい価値になる。
はい。よく人に対して「変わってほしい」と願うことってありますよね。
でも、そうじゃないんです。
まず自分が変わる。
自分が新しい価値を持った存在になる。
そうすると、その人がそこにいるだけで周りが自然といい方向に変わっていく。
そういう連鎖を繋いでいってほしいんです。
――とはいえ、「自分が新しい価値になる」と言われると、少しハードルが高く感じる人もいそうです。「まだ何者でもない」「武器がない」と感じている人でも、大丈夫でしょうか?
正直に言うと、nano.に入ったからといって何者かになれるわけじゃないんです。
――入っただけでは変われないと。
そうですね。
nano.に入って、何を成したか。
そこで初めて何者かになれると思っていて。
何かを成すためのフィールドは、うちには間違いなくあります。
でも、そこで何を成すかは自分次第なんです。
だからこそ、
「一歩ずつ成長していきたい」
「理想に近づくために挑戦したい」
そういった方にとっては、これ以上ない環境だと思っています。
――数年後、どんな人がnano.の中心で活躍していると思いますか?
こだわりを持っている人ですね。
何に対してでもいいんです。
自分はこれだけは譲れない、という信念を持っている人。
ただ、こだわりは、独りよがりになってもいけなくて。
自分のこだわりが、どんな人のどんな欲求に響くのか。
それを考えて動ける人が、これからのnano.をつくっていくと思います。
――最後に、堂本さんにとって、nano.とはどんな会社ですか?
一言でいうと、「可能性の塊」です。
一人ひとりが、まだ見ぬ可能性を持っている。
その可能性が集まって、掛け合わさっていく。
だから、これからのnano.がどうなっていくのか、僕自身が一番楽しみにしているんです。
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